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茶の世界史

中公新書 / 角山栄

近世・近代 アジア・ヨーロッパ 政治・社会・文化

16世紀にヨーロッパ人が日本を訪れて発見したものは多くあるが、その最大のものは「茶の湯」文化であった。ヨーロッパ人は茶に魅せられ茶を求めた。茶と綿織物の需要・消費を促進剤として伸長したイギリス資本主義とその後の展開を、「茶」の世界規模での歴史的変遷を中心に記述している。

茶が初めてヨーロッパに伝わったのは17世紀初めで、アジアの文化に圧倒されていたヨーロッパ人は最初は茶を貴重な薬として扱った。

やがてイギリス人は緑茶よりも紅茶を好むようになり、それにミルクと砂糖を入れる独特の紅茶文化をつくり出した。また、それに合わせて取っ手付きのティカップや受け皿、ティスプーンなどを発達させたのも17〜18世紀のイギリス人で、トワイニングやウェッジウッドの活躍が有名である。アメリカ独立戦争の時のボストン茶会事件をはじめ、茶をめぐる歴史的エピソードは多く、本書によって中世〜近代史を概観することができる。