世界史おすすめ50冊

ペスト大流行

岩波新書 / 村上陽一郎

中世 ヨーロッパ 社会

14世紀半ば、黒死病とよばれたペストの大流行によって、ヨーロッパでは3000万人近くの人々が死に、中世封建社会は根底から揺り動かされた。科学思想史を専門とする著者が、史実に基づきながら豊富なエピソードを交えて、ペスト流行と当時の社会情勢との関係・歴史的背景を説明する。(一部カバー紹介文より)

1348年をピークとする黒死病(ペスト)の流行により、ヨーロッパ人口約1億人の3分の1近くが死亡したとされる。この人口激減はとくに農村部で労働力窮乏という形で現れた。労賃が高騰したため、これを支払えない荘園領主は、土地を農民に賃貸しという形で下げ渡した。農民は、それまで一揆などで犠牲を払いながら少しずつ手に入れ始めていたこうした権利を、黒死病のお陰で、たやすく獲得できるようになった。

中世の封建的荘園制度の崩壊を助長したともいえる黒死病およびペスト全般について、史実に基づき、社会的・科学的に様々な角度から解明している。また、ペストにまつわる神学上・医学上の論争も分かりやすく解説している。

☆類書『ジャンヌ・ダルク』村松剛中公新書1381967年

『ヴァイキング』荒正人中公新書1501968年

『ロビン・フッド物語』上野美代子岩波新書5641998年