中学生のための国語のおすすめ50冊
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掬えば手には
小説
講談社
「ぼくが最初に自分の能力に気がついたのは、中学三年生の十月だ。」
あなたの「能力」は何ですか? そんなこと考えたこともないですか? いいえ、誰もがきっと一度は考えたことがあるのではないでしょうか。自分にだって何か特別な力があるはず。誰しも、自分が生まれてきた意味を考えながら今日を生きています。
大学生の「ぼく」は、自分が平凡であることを悩んでいましたが、中学三年のときにエスパーのように人の心を読めるという特殊な能力に気づきます。そんな日常に現れた、一人の女の子。しかし、「ぼく」の特別な力をもってしても彼女の心の声は聞こえません。彼女は、誰にも言えない秘密を心に抱えて生きていました。
「ぼく」の周りは、人間味あふれる登場人物であふれています。そんな登場人物たちとの豊かな会話もきっと心に沁みることでしょう。気がつけば全員を応援したい気持ちになり、一人一人の存在が愛しくて、穏やかな時間を過ごすことができるはずです。
平凡な毎日を過ごす。それって簡単なようで難しい。生きるって大変なことです。でも周りには自分を支えてくれる人がいて、互いに支え合って今があります。すべての人の心に優しさと心地良さを残す一冊です。(Hさん)