【研究の研究】Cさん

研究内容の概要を教えてください。

製薬会社において薬の開発や改良のための研究を行っています。薬理研究グループに所属しており,各種非臨床試験(注1)において薬の効果の評価を行っています。

研究者もしくは生物学の道を志したきっかけはありましたか?

高校時に,DNAの一塩基多型(SNP)が疾患にもつながり得ることを知り,面白いなと思ったことがきっかけで,大学では理学部の生物科学科に進学し,研究室は分子生物学(注2)を学べるところを専攻しました。せっかく研究を続けるのであれば,ヒトのためになる研究に従事したいという思いがあり,ご縁があって製薬会社へ入社する運びとなりました。入社後は薬理研究グループに配属され,日々実験を計画・遂行しています。

学生時代のようすを教えてください。

高校時はひたすら部活動のハンドボールに打ち込み,数少ないオフの日には友人と遊びに出かけていました。勉強面でいえばずっと国語が苦手であったこと,理系科目が得意であったこともあり,高校では理系に進みました。正直なところ,将来の夢が定まらないまま高校に進学し,漠然と薬剤師になれたらいいかなと考えた時期もありました。授業を通して生物学に興味を持ったことから,生物系で研究していけたらなと思い,薬学部ではなく理学部生物科学科へ進学しました。高校や大学で専攻していた知識がそのまま企業における研究に活きることは少ないかもしれませんが,興味を狭めずにいろいろなことに挑戦したことが今の原動力のベースとなっていると思います。

研究の世界に入る前に抱いていた「研究」のイメージと,入ってからの実際のようすに差はありましたか?

大学の研究室における研究とは異なり,企業における研究は制約も多く,限られたコストでデータを出す必要があります。また正しいデータ取得に向け,実験するにあたっての手続き・書類作成が想像より多いことに入社当初は驚きました。

研究者としての将来の展望がありましたらお聞かせください。

薬の開発には膨大なコストがかかり,開発を進めている薬が晴れて申請・承認に至るのはほんの一握りです。開発に携わっている薬を患者さんのもとへ届けることができればいいなと思います。

注1

非臨床試験  動物を用いた動物実験や,ヒトなどの動物由来の細胞を用いた細胞実験により,薬の効果や安全性などを調べる試験。非臨床試験の結果,効果や安全性に問題がないと判断された場合には,ヒトで改めて効果や安全性を確認する臨床試験が行われる。

注2

分子生物学  生物で見られるさまざまな現象を分子レベルで解析し,明らかにする学問。