動物の行動に対して,「なぜ」と疑問をもったとき,その答えは4つの観点から考えることができると動物行動学者であるティンバーゲンは示している。
「なぜホシムクドリの雄は春にさえずるのか」という疑問を例に挙げると,次のようになる。

観点①どのようにして,その行動は成り立っているのか。
「どのようなメカニズムでさえずりが起こるのか?」
答え 昼間の時間が長くなると,ホルモンが作用してさえずりが引き起こされる。または,空気が発声器を通る際に声帯を震わせるため,さえずることができる。
観点②どのようにして,その行動は発達したのか。
「ホシムクドリの成長の過程での経験は,さえずりにどのように影響したのか?」
答え ホシムクドリは両親や周りの個体からさえずり方を学習し,さえずりができるようになる。
観点③なぜ,その行動があるのか。
「ホシムクドリのさえずりはどのように役立っているのか?」
答え ホシムクドリは繁殖のため,配偶者を引き付けようとしてさえずる。
観点④なぜ,その行動が進化したのか。
「ホシムクドリの複雑なさえずりは,どのような進化の過程を経て獲得されたのか?」
答え 現存する最も原始的な鳥は単純な音を出すことから,ホシムクドリの複雑なさえずりは,祖先の単純な鳴き声から進化したと考えられる。
身近な生物の行動に対して,「なぜ」と疑問をもったとき,これらの4つの観点から考えてみると,より生物学を深めることができる。