マラリア

マラリアは,マラリア原虫の感染による感染症で,三日熱マラリア,四日熱マラリア,熱帯熱マラリアなどがあります。熱帯熱マラリア以外は,定期的に発熱するため,このような名が付いています。蚊(ハマダラカ)によって媒介され,熱帯・亜熱帯で流行しています。年間3億~ 5億人が感染し,100万人以上が死亡すると言われており,特に,サハラ砂漠以南のアフリカ諸国の被害が甚大です。

マラリア原虫注1
血を吸うハマダラカ注1

原生生物のアピコンプレクサ類に属するマラリア原虫は,ハマダラカを最終宿主,ヒトを中間宿主とし,世代交代を行う生活史を営みます。ハマダラカで有性生殖を行った原虫は唾腺に集まります。ハマダラカがヒトをさすとき,唾液とともに大量の原虫がヒトのからだに入ります。ヒトに感染した原虫は,肝細胞で増殖してから赤血球に侵入します。さらに,赤血球で増殖したのち,赤血球を破壊して別の赤血球に侵入し,これをくり返すのです。定期的に発熱するのは,このサイクルによります。

マラリア原虫(輪状体)が寄生したヒトの赤血球注1ヒトの赤血球には核がないため,マラリア原虫の染色体だけが染色されています。

ワクチンはありませんが,治療薬としてはキニーネ,クロロキンなどがあります。また,殺虫剤や虫よけ剤,蚊帳などを使って予防できます。ただし,薬剤耐性のマラリア原虫が出現しています。地球温暖化による感染地域の拡大も指摘されています。

注1

アメリカ疾病防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention,CDC) Public Health Image Libraryから。

参考