花芽形成のしくみ

花と訪花性昆虫の共進化

花は繁殖のための器官であり,花粉がめしべの柱頭へと運ばれることで植物は繁殖する。植物には花粉を風にのせて飛ばすもの(風媒)や昆虫などの動物に花粉を運ばせるもの(動物媒)などがある。私たちがふだん「花」として認識しているのは,被子植物のうち特に動物媒の花である。動物媒の植物は送粉者を引き寄せる適応として多様で美麗な花を進化させてきた。花の色や構造を特殊化させることには,同種の個体間で確実に花粉を交換する上でも適応的だと考えられる。一方で風媒の花は動物を引き寄せる必要がなく,総じて地味である。

風媒の花と動物媒の花 花の色や構造を比較すると,風媒の花よりも動物媒の花の方が鮮やかで目を引くことがわかる。裸子植物の多くは風媒である。ただし,風媒・動物媒のどちらであるかは必ずしも系統によらない。

被子植物の多様化は中生代白亜紀以降に起こった。さまざまな花が季節を彩るようになったのはこの1億年ほどのことである。動物媒の植物の送粉者として特に重要な昆虫にハナバチ(ミツバチやマルハナバチなど)がある。ハナバチは成虫,幼虫ともに花粉や花蜜に依存した生活をしている。ハナバチの多様化も中生代白亜紀以降に起こった。被子植物の多様化とハナバチなどの送粉者の多様化は,互いに影響しあうことで共進化を起こした結果であると考えられる。

【参考文献】

  • Cardinal S, Danforth BN. Bees diversified in the age of eudicots. Proc Biol Sci. 2013 Jan 30;280(1755):20122686.
  • Pellmyr O. Evolution of insect pollination and angiosperm diversification. Trends Ecol Evol. 1992 Feb;7(2):46-9.