【進化View】視覚器の進化

視覚器の進化

視覚器が出現した時期ははっきりとわかっていないが,古生代のカンブリア紀(約 5.4~4.8 億年前)の前には出現し,カンブリア紀に飛躍的に多様化したと考えられている。現生の動物でも,ミミズの視覚器のように光の強弱を感知するだけの単純なものから,イカやヒトのように形や動きを感知できる複雑な眼まで,さまざまな視覚器が見られる(図1 )。

これらは共通祖先が獲得した視覚器がそれぞれの系統で独自に進化した結果である。軟体動物と脊椎動物がもつ複雑な眼について比べると,イカ(軟体動物)の眼とヒト(脊椎動物)がもつような複雑な眼はどちらも「カメラ眼」とよばれ,よく似たつくりをしている。しかし イカとヒトのカメラ眼は,異なる進化の道筋を経てそれぞれ獲得されたものである。このため,両者には,発生上の違いなども見られる(図2 )。このように,系統の異なる生物において,似たような形質が進化することを「収れん」という。

【参考文献】

  • 岩堀修明.図解・感覚器の進化 原始動物からヒトへ 水中から陸上へ.講談社,2011