光合成と窒素固定を両立する多細胞体制
アナベナは,細胞が数珠状につながった多細胞性のシアノバクテリアの一種で,光合成を行うことで酸素を発生させます。同時に,空気中の窒素を取り込んでアンモニアをつくり,アミノ酸などを合成する反応(窒素固定)も行います。

しかし,ここには大きな「矛盾」があります。窒素固定に必要な酵素(ニトロゲナーゼ)は,酸素に触れると壊れてしまうからです。つまり,アナベナは,光合成で酸素を発生させながら,その酸素から窒素固定の酵素を守らなければならないという矛盾を抱えているのです。
アナベナは,この問題を解決するために,アナベナの細胞1つ1つが役割分担して,多数の細胞がつながることで協力して生きるしくみを進化させました。
細胞ごとの役割分担
アナベナは,主に2種類の細胞で構成されています。
- 栄養細胞:光合成をして増殖する,一般的な細胞です。
- 異質細胞(ヘテロシスト):栄養細胞が特別な細胞へと変わったもので,透明感のある黄緑色で,厚い膜に覆われています。窒素固定を行う細胞です。
この2種類の細胞が,互いに協力し合っています。
- 栄養細胞は,光合成で糖を作り,それを異質細胞に渡します。
- 異質細胞は,光合成による酸素の発生を止め,酸素の流入を防ぐ厚い膜を形成し,酸素を積極的に使うことで,窒素固定に最適な,酸素の少ない環境を作り出します。
- 異質細胞が窒素固定で作り出した窒素化合物は,栄養細胞へと送られ,増殖のために利用されます。
このように,アナベナは,細胞がつながって集合体をつくり,細胞ごとに役割を分担することで,光合成と窒素固定という相反する反応を両立させているのです。
