理科便覧ネットワーク

田中耕一

プロフィール

たなかこういち

日本

1959年8月3日 ~

  • ノーベル賞
    ノーベル化学賞 (2002年) 「生体高分子の構造解析のための手法の開発」

おもな業績

  • レーザーイオン化質量分析技術の開発(1985年) レーザーによってタンパクしつたいにして,そのしつりょうをはかるそうを開発した。

解 説

大学では,でんやアンテナについて学んでいましたが,大学卒業してしませいさくしょしゅうしょくし,化学分野の研究に関わるようになりました。そして,タンパク質などの質量をはかる装置(しつりょうぶんせきそう)の開発を行うようになりました。タンパク質は生物には欠かせないぶっしつで,化学だけでなく生物学にも関わるものでした。

さまざまなタンパク質がはたらいて,生命活動が行われています。タンパク質は,その構造からいろいろなことがわかります。タンパク質の構造を調べるためには,その質量を知ることが必要で,タンパク質の質量分析装置が重要になります。

田中は,その開発中に,間違えて薬品を混ぜてしまいました。でも,そのまま実験をしてみると,大変よい結果を得たのです。タンパク質にレーザーを当てて気体にし,その質量をはかる方法を研究していました。しかし,レーザーを当てることで,タンパク質がダメージを受けてしまいます。そのダメージを少なくするのに,混ぜた薬品が役立ったのです。

1985年,このことを利用して,新しい方法(レーザーイオン化質量分析技術)を開発し,質量分析装置をつくりました。この方法によって,レーザーを使った質量分析装置が大きく進展しました。

田中は,この成果により,アメリカのジョン・フェン,スイスのクルト・ビートリッヒとともに,2002年のノーベル化学賞を受賞しました。

質量分析技術は,生物学の研究の発展を後押ししただけでなく,りょうの分野でも活用されています。