鈴木章
プロフィール
すずきあきら
日本
1930年9月12日 ~
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ノーベル化学賞 (2010年) 「有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング」
おもな業績
- 鈴木・宮浦カップリングを発見(1979年) 有機物(芳香族化合物)をつくる新しい方法を発見しました。
解 説
読書が好きな少年でした。大学に入学したときは,数学の研究をしたいと考えていましたが,有機物を扱う化学に興味をもち,有機化学の研究をするようになりました。
鈴木は,宮浦憲夫とともに,有機物の合成について研究しました。1979年,有機ホウ素化合物と有機ハロゲン化合物を使って,芳香族化合物をつくる方法を発見しました。鈴木・宮浦カップリングとよばれる方法です。
芳香族化合物とは,炭素原子6個が結合してできた六角形の構造(「亀の甲」)をもつ有機化合物です。カップリングとは,2つの化合物から必要なものをつなぎ合わせて,求める化合物をつくる化学反応です。鈴木・宮浦カップリングでは,パラジウムという物質を触媒(反応を進めるための物質)にしました。
この方法により,有用な芳香族化合物を効率的につくることが可能になり,さまざまなものに利用されるようになりました。抗がん剤やエイズ治療薬などの医薬品,いろいろな製品に利用される液晶や有機ELの材料など,いまの社会には欠かせないものになっています。
鈴木は,パラジウムを触媒に使ったクロスカップリングの研究により,根岸英一,リチャード・ヘックとともに,2010年のノーベル化学賞を受賞しました。