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白川英樹

プロフィール

しらかわひでき

日本

1936年8月20日 ~

  • ノーベル賞
    ノーベル化学賞 (2000年) 「導電性ポリマーの発見と開発」

おもな業績

  • どうでんせいプラスチックの発明(1977年) 電気を流すプラスチックを発明した。

解 説

けんたかやまで少年時代を過ごしました。豊かな自然の中で,しょくぶつかんの植物を探すことに熱中していました。食塩水を付けた新聞紙を燃やすと,黄色の炎を出すことにも興味をもちました。また,生活で使われはじめていたプラスチックについて,まだ便べんに感じることがあり,いつか便利なプラスチックをつくりたいとも思っていました。

研究者になって,1967年,りゅうがくせいにポリアセチレンというプラスチックの合成を指導していたとき,その留学生が薬品ののうをまちがえて実験をしてしまい,目的のものがつくれませんでした。でも,いままでにないものがそこにありました。白川はそれを見逃しませんでした。

それまでポリアセチレンは,ふんまつじょうのものしかつくることができませんでしたが,その失敗をもとに,何度も濃度を変えて研究を行い,うすいまくのポリアセチレンをつくることに成功しました。それはきんぞくのようなこうたくをもつものでした。粉末状ではなく,まくじょうのものができたため,その性質もくわしく調べることができました。

電気を流すプラスチックとして期待されましたが,思ったほどには電気は流れず,しばらくは研究が進みませんでした。その後,1975年にアメリカの科学者アラン・マクダイアミッドが日本を訪れたとき,白川のつくったきんぞくこうたくをもつポリアセチレンを見て驚きました。すぐに共同研究がはじまりアラン・ヒーガーも加わりました。

わずかにじゅんぶつを加えると,電気が非常によく流れることがわかりました。電気の流れるプラスチックができたのです。1976年にそのことを発表しましたが,はじめはなかなか信じてもらえませんでした。マクダイアミッドの提案で,1977年に行われたがっかいで実演することになりました。多くの科学者の前で,電気が流れることを示し,その年に論文もしゅっぱんされました。

電気を流すプラスチックは,タッチパネルやリチウムイオンでんなど,いまの社会には欠かせないものになっています。

2000年,白川,マクダイアミッド,ヒーガーの3人は,この成果によりノーベル化学賞を受賞しました。1981年の福井謙一以来,日本人のノーベル化学賞受賞でした。