坂口志文

似顔絵:たしろさなえ
プロフィール
さかぐちしもん
日本
1951年1月19日 ~
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ノーベル生理学・医学賞 (2025年) 「末梢性免疫寛容についての発見」
おもな業績
- 制御性T細胞の発見(1995年) 異常な免疫反応をおさえる白血球(制御性T細胞)の発見
解 説
ヒトは,白血球のはたらきによって,細菌やウイルスなどの外敵からからだを守ったり,体内で発生する異常な細胞(がん細胞など)をとり除いたりしています。このようなはたらきを免疫といいます。免疫には,自分のからだ(自己)と自分ではないもの(非自己,異物)とを見分けるしくみがあり,免疫は自分のからだには反応しないようになっています。
しかし,免疫が自分のからだの一部を異物とまちがえて攻撃してしまい,その部分のはたらきが悪くなったり,はたらかなくなったりすることがあります。このようにして起こる病気を自己免疫疾患といいます。関節リウマチなどがその例です。
坂口は,ある種の白血球を除くとネズミが自己免疫疾患を発症することから,この白血球が,自分のからだを攻撃する免疫をおさえていると考えました。この白血球が「制御性T細胞」です。それ以前にも,同じような白血球(抑制性T細胞)の存在が提唱されましたが,その存在が実証されていなかったため,坂口が発見した制御性T細胞も,はじめはあまり注目されませんでした。
しかし,「自己免疫疾患は,自己を攻撃する免疫をおさえる白血球がはたらかなくなって発症する」という考えに揺らぎはなく,研究を続けました。その後,坂口が行った遺伝子を調べる研究によって,制御性T細胞の存在が証明されると,この細胞の研究が広まっていきました。
制御性T細胞をコントロールすることで,自己免疫疾患やがん,アレルギーなどの治療ができるのではないか。移植した臓器を免疫が異物としてみなしてしまうこと(拒絶反応)を防ぐことができるのではないか。このような医療への応用も期待されていて,さまざまな研究が続けられています。