大隅良典
プロフィール
おおすみよしのり
日本
1945年2月9日 ~
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ノーベル生理学・医学賞 (2016年) 「オートファジーのしくみの解明」
おもな業績
- 酵母のオートファジーを観察(1992年) 酵母のオートファジー(細胞内のタンパク質を自身で分解)を観察した。
- オートファジーのしくみの解明 酵母のオートファジーを研究して,オートファジーのしくみを解明した。
解 説
生物のからだはタンパク質でできていますし,生命活動もタンパク質なしには成り立ちません。タンパク質は,遺伝子DNAの遺伝情報を使ってつくられます。タンパク質をつくるしくみの解明も大切ですが,タンパク質を分解するしくみの解明も,大変重要な研究テーマです。
生物は,不要になったタンパク質を分解して,使われていた部品(アミノ酸)を再利用しています。特に,栄養が少ない環境では,このような再利用が活発に行われます。
タンパク質を分解するしくみには,大きく2種類あります。その1つがオートファジーとよばれるものです。オートファジーには「自分を食べる(自食)」という意味があります。不要になった比較的大きなタンパク質を,膜でつつみこみ,その中で分解するのがオートファジーです。
大隅は,1992年に,酵母のオートファジーをはじめて観察しました。その後も,オートファジーを起こす遺伝子を見つけたり,つつみこむ膜がどこからくるのかを調べたりと,さまざまな研究を長く続けて,そのしくみを解明しました。
大隅は,この研究により,2016年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ノーベル賞は同じ研究で3人まで受賞が可能ですが,大隅は単独での受賞でした。単独受賞は少なく,大変な栄誉です。
なお,オートファジーは,からだがつくられるしくみに関わります。また,細胞内に侵入する微生物をとり除いたり,がんを防ぐことにも役立ったりと,健康にも関わっています。しくみの解明は,基礎的な研究ですが,その成果は,病気の原因究明や治療法の開発などに応用できると期待されます。