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益川敏英

プロフィール

ますかわとしひで

日本

1940年2月7日 ~ 2021年7月23日

  • ノーベル賞
    ノーベル物理学賞 (2008年) 「クォークが自然界に少なくとも3世代以上あることを予言する,CP対称性の破れの起源の発見」

おもな業績

  • ばやしますかわろんていしょう(1973年) 6種類のクォークを考えることで,CP対称性の破れを説明した。

解 説

ぶっしつには,「物質」と「反物質」があり,現在の宇宙では,物質が反物質よりもはるかに多くなっています。このような宇宙ができるためには,「CP対称性の破れ」というげんしょうが起こる必要があると,物理学では考えられていました。そして,1964年に,CP対称性の破れは,ある粒子で観測されていましたが,それを理論的には説明できていませんでした。

益川とばやしまことは,思考と議論,計算をくり返しながら,その理論にとり組み,1973年に小林・益川理論として発表しました。

物質を構成する粒子をつくるもの(クォーク)には,当時は3種類が知られていました。小林と益川は,さらに3種類,合計6種類のクォークを考えることで,観測されていたCP対称性の破れを説明できることを示しました。これが小林・益川理論です。

その後,提唱した3種類のクォークの存在が実験で確認されました。さらに正確な実験により,2人の理論が正しいことが示されました。

益川と小林は,この成果によって,2008年のノーベル物理学賞を受賞しました。そのとき,なんよういちろうも「はつてきたいしょうせいの破れの発見」という業績でノーベル物理学賞を受賞しました。ともに対称性の破れの研究によるものでした。