眞鍋淑郎
プロフィール
まなべしゅくろう
日本→アメリカ
1931年9月21日 ~
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ノーベル物理学賞 (2021年) 「地球気候をモデル化し,地球温暖化の高信頼予測を可能にした業績」
おもな業績
- モデルにもとづいた地球温暖化の予測(1967年) 二酸化炭素濃度の上昇による地球の温暖化を定量的に見積もった。
- 大気海洋結合モデルの提案(1969年) 大気と海洋の関係を考慮しながら地球の気候のモデル化を行った。
解 説
大気と海洋は接しているため,熱のやりとりがあるほか,風で海水が動くなど,互いに影響を及ぼし合っています。そのため,気候を理解するには,大気だけでなく,海洋の影響も考慮する必要があります。
眞鍋は,コンピュータの計算で地球の気候を再現できるようなモデル(地球の大気に影響を与えるさまざまな要素の関係を数式で表現したもの)を研究しました。 そして,モデルを用いて二酸化炭素濃度の上昇が気候へ与える影響を予測し,二酸化炭素濃度が当時の2倍になると地球の平均気温が2.36℃上昇するとしました(1967年)。また,大気と海洋が互いに及ぼす影響を考慮したモデルも開発しました。眞鍋のモデルは,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書で使われるシミュレーションの原型になりました。
眞鍋は,これらの研究により,ドイツのクラウス・ハッセルマン,イタリアのジョルジョ・パリ―ジとともに,2021年のノーベル物理学賞を受賞しました。ハッセルマンは眞鍋と同様に気候の研究での受賞でしたが,パリ―ジはスピングラスという現象の研究での受賞でした。これは,このときの物理学賞は「複雑なシステムの理解」への貢献に対するものであったためです。