理科便覧ネットワーク

おもな業績

• 惑わく星せいの運動の法則の発見（1609〜19年） 惑星の運動についての「ケプラーの法則」を発見した。

解　説

聖せい職しょく者しゃになるために大学で神しん学がくを学んでいるとき，天てん文もん学がくに出会って大変興味をもちました。そして，コペルニクスの地ち動どう説せつに傾けい倒とうしていきました。また，数学の成績も優秀でした。

大学卒業後，聖職者にはなれず，数学と天文学の教師になりました。そこでは講こう義ぎのほかに，占せん星せい暦れき（占せん星せい術じゅつによる予よ言げんをふくんだカレンダー）を書いて，生せい活かつの糧かてとしなければなりませんでした。

結婚して幸福な家庭を営みはじめた矢先，宗しゅう教きょう改かい革かく運うん動どうのあおりを受けて，町を追われることになりました。行くところがなくなったケプラーは，ティコ・ブラーエに招かれました。ブラーエは天文学者で，望ぼう遠えん鏡きょうのなかった時代に天文観測を行い，正確な観測結果をたくさん残していました。

ブラーエは，自身が行った観測データから地動説の証しょう拠こを見出すことができず，独自の天てん動どう説せつを提てい唱しょうしました。ブラーエが亡なくなったあと，ブラーエの観測データの整理を，ケプラーが遺ゆい言ごんによって引きつぎました。

ブラーエの大量のデータをもとに，20年もの間，惑星の研究を行い，惑星の運動についての重要な法則（ケプラーの法則）を導き出しました。

• 第1法則（だ円軌道の法則）　惑星は，太たい陽ようを1つの焦しょう点てんとするだ円軌道上を動く。
• 第2法則（面積速度一定の法則）　惑星と太陽を結ぶ線が，同じ時間にえがく部分の面積は一定である。
• 第3法則（調和の法則）　惑星の公こう転てん周しゅう期きの2乗は，軌き道どう長ちょう半はん径けいの3乗に比ひ例れいする。

それまでの地動説では惑星の公転軌道は円と考えられていましたが，公転軌道をだ円とするケプラーの法則のおかげで，より正確に観測データを説明できるようになりました。また，この成果をもとにして，ニュートンは万ばん有ゆう引いん力りょくの法則を導き出しました。