本庶佑
プロフィール
ほんじょたすく
日本
1942年1月27日 ~
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ノーベル生理学・医学賞 (2018年) 「免疫チェックポイント阻害因子の発見とがん治療への応用」
おもな業績
- PD-1の発見(1992年) 免疫細胞には,チェックポイントのはたらきをするPD-1があることを発見した。
解 説
医学部を卒業して医師の資格をとったのち,アメリカに渡って,医学研究機関で研究を行いました。日本に戻ってからも,医学部でおもに免疫に関わる遺伝子のはたらきや,細胞のはたらきの研究をしました。
抗体をつくる細胞は,途中で抗体の型を切り替える(クラススイッチする)ことで,効率よくはたらくことができます。この切り替えが起こるしくみを解明しました。そして,それに関わる物質を発見しました。
キラーT細胞とよばれる免疫細胞は,がん細胞などを発見して攻撃をします。しかし,キラーT細胞には,PD-1という分子が細胞膜にあり,この分子によって攻撃をとめるしくみがあることを発見しました。免疫のはたらきをオン・オフするための免疫チェックポイントがあったのです。PD-1がかぎ穴のようになっていて,ここにかぎがはまると,キラーT細胞は攻撃をやめるというしくみを解明しました。
がん細胞の多くは,このかぎをもっており,がん細胞が増殖してしまうことがわかりました。このかぎ穴をふさぐことで,がん細胞を攻撃できるようにならないか。そのように考えて開発されたのがオプジーボとよばれるがんの薬です。一部のがんで大きな効果が認められています。
このように,免疫チェックポイントがはたらかないようにする薬を開発して,がん治療に応用したことにより,本庶は,アメリカのジェームズ・アリソンとともに,2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。