江崎玲於奈
プロフィール
えさきれおな
日本
1925年3月12日 ~
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ノーベル物理学賞 (1973年) 「半導体内におけるトンネル効果の実験的発見」
おもな業績
- トンネル効果の実証(1957年) 理論物理学で示されていたトンネル効果を,実際に示すことに成功した。
- トンネルダイオードの発明(1957年) トンネル効果を利用した半導体を発明した。
解 説
物理学の理論から,非常に小さな世界では,通過できないと思われていた壁を通過することがあるとわかっていました。それをトンネル効果といいます。
東京通信工業(現在のソニー)は,半導体を利用したラジオ(トランジスタラジオ)をつくっていましたが,半導体に不良品が生じて困っていました。半導体製造時に不良が生じる原因を調べていた江崎は,予想外の測定結果を見つけ,それがトンネル効果によるものであることに気づきました。このことから,半導体が不良品になる原因もわかりました。
江崎は,固体によるトンネル効果を実際に示すことにはじめて成功し,この研究を応用して,トンネルダイオード(エサキダイオード)という半導体を発明しました。高速で動作するトンネルダイオードは,高い周波数の回路でよく使われる半導体になりました。
江崎は半導体のトンネル効果を,アメリカのアーバー・ジェーバーは超伝導体のトンネル効果を実際に示したことで,また,イギリスのブライアン・ジョセフソンはジョセフソン効果の予測で,1973年のノーベル物理学賞を受賞しました。江崎は,湯川秀樹(1946年物理学賞),朝永振一郎(1965年物理学賞),川端康成(1968年文学賞)に続く,日本人ノーベル賞受賞者になりました。科学分野では3人目の受賞です。