理科便覧ネットワーク

おもな業績

• 光こう量りょう子し仮か説せつの提てい唱しょう（1905年）　光が粒子であるとして，光こう電でん効こう果か（物ぶっ質しつに光を当てると電でん子しが飛び出す現げん象しょう）を説明した。
• ブラウン運動の原因の究明（1905年）　原げん子し・分子が実際に存在する証しょう拠こになった。
• 特とく殊しゅ相そう対たい性せい理り論ろんの発見（1905年）　質しつ量りょうがエネルギーに変換できることを示した（原子力エネルギー）。
• 一いっ般ぱん相そう対たい性せい理り論ろんの発見（1915〜1916年）　重じゅう力りょくで光が曲がること，重じゅう力りょく波はの存在などを予想した。

解　説

12歳のときに三さん平へい方ほうの定てい理り（ピタゴラスの定理）を自力で証明し，16歳でニュートンの考えた微び積せき分ぶんという数学を独学でマスターしました。大学卒業後，スイスの特とっ許きょ局きょくで仕し事ごとをしながら，紙と鉛筆と頭脳だけを使って研究を行いました。

「光量子仮説」についての論文（1905年）では，「光こう量りょう子し」という新しい考え方を取り入れ，この研究で1921年にノーベル物理学賞を受賞しました。波の性質をもつ光は，同時に粒子としての性質ももっていることを示したのです。

ブラウン運動についての論文（1905年）では，水中の小さな粒子の動きが，原子や分ぶん子しの衝突によるものだということを示しました。これは，原子の存在を証明する最初の証拠となり，ドルトンの「原げん子し説せつ」を決定的に裏付けました。

「特殊相対性理論」の論文では，観測結果をもとに，光の速度は光こう源げんや観測者の運動にかかわらず一定である，とする「光こう速そく度ど不ふ変へんの原げん理り」を打ち立て，すべての運動はたがいに「相対的」であり，たがいに一定速度で運動する物ぶっ体たいには，共通の自然法則が成り立つ，と主しゅ張ちょうした。この理論では，わずかな物質が多大なエネルギーを生み出すことも証明されました。これにより，キュリー夫妻が発見した放ほう射しゃ線せんのエネルギー源が明らかになり，核かくエネルギーへの道が開かれたのです。

なお，アインシュタインは，1905年にこの3つの論文をふくめて，5つの重要な論文を続けて発表した。「奇き跡せきの年」ともよばれています。

10年後には，「特殊相対性理論」をより広い条件で成り立つようにした「一般相対性理論」（1915〜1916年）を発表しました。これにより，重力で光が曲がることや，重力波の存在を予想しました。その後，皆かい既き日にっ食しょくの観察から，重力で光が曲がることが観測されました。また，約100年後に，重力波の検出にも成功しました。重力波の検出に貢こう献けんした科学者は，2017年のノーベル物理学賞を受賞しました。

1933年，アインシュタインはヒトラーから逃れてアメリカに亡命しました。1939年，ヒトラーよりも先に原げん子し爆ばく弾だんをつくることを，アメリカ大統領にすすめる書類に署名しました。後にアインシュタインはこのことを深く後こう悔かいし，核かく兵へい器きの廃はい絶ぜつと平和を訴え続けました。