りかびんPlus - 燃料電池
燃料電池は,地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量が少ないといわれている。これは,「発電に利用する反応が 水素+酸素→水 で,二酸化炭素が発生しないから」ではない。
現在,日本の電力の大部分は化石燃料を使う火力発電によって得られている。この方法は,炭素をふくむ化石燃料を燃焼させるため,二酸化炭素が大量に排出される。一方の燃料電池では,水素と酸素から水が生成する反応を利用している。この発電時には,たしかに二酸化炭素は発生しない。
しかし,燃料となる水素はどのように得られるだろうか。現在,水素は天然ガス(おもにメタン)などの化石燃料を原料として,次のような反応で得られることが多い。
メタン+水→水素+二酸化炭素
つまり,燃料電池でも燃料の水素を得る段階で二酸化炭素が排出される。それではなぜ,燃料電池で二酸化炭素の排出量を削減できるといわれるのだろうか。
まず,火力発電では,
化石燃料(化学エネルギー)→燃焼(熱エネルギー)→発電(電気エネルギー)
というように,エネルギーの変換をくり返すため,途中でのエネルギーの損失が多い。
一方の燃料電池は,
化石燃料(化学エネルギー)→水素(化学エネルギー)→発電(電気エネルギー)
なので,熱によるエネルギーの損失が少ない。
また,家庭やオフィス,工場など,エネルギーを消費するところの近くに燃料電池を置けば,遠方の発電所から送電する場合と比べて,送電の途中での損失も少なくなる。
さらに,燃料電池では電気エネルギーとは別に,反応で生成する熱も温水や蒸気をつくるのに利用しやすい。このように発電時の排熱も利用して効率よくエネルギーを使うシステムを,コージェネレーションシステムという。
以上のように,燃料電池は,高いエネルギー効率を実現できるため,二酸化炭素の排出が少ないといわれるのである。