中学生のための国語のおすすめ50冊

君たちはどう生きるか

君たちはどう生きるか

小説

岩波文庫

吉野源三郎

〈本田はね、うちじゃ、コペル君て呼ばれてるんだよ。〉

みんなが生活している日本よりも、少し昔の日本のお話。「コペル君」と呼ばれている男の子がいました。名前は本田潤一(ほんだじゅんいち)。中学二年生。背が低くて、いたずら好きで、でも、成績優秀。……こうやって書くと、「コペル君ってすごいなあ」と思う人もいるでしょう。でも、そんなコペル君にも、失敗することもあればうまくいかないこともあるのです。コペル君にはお父さんがいません。その代わり、何でも話せる叔父さんがいます。コペル君は自分なりに一生懸命に悩み、考えたことを叔父さんに話します。叔父さんは、コペル君に向けてのメッセージを、ノートにまとめていきます。このやり取りに寄り添いながら、作者は私たちにこう呼びかけているようです。

「君たちは、どう生きるか?」

変わっていくことは必要です。時には忘れてしまうことが必要なときもあるでしょう。でも、変わらないものもある。忘れてはいけないことも、絶対にある。

現代を生きる私たちが、コペル君の姿から学ぶことだって、きっとたくさんあるのではないでしょうか。(Sさん)