中学生のための国語のおすすめ50冊

往復書簡

往復書簡

小説

幻冬舎文庫

湊かなえ

〈手紙のやりとりで明かされていく事故の真相とは〉

この本は別々の三つの短編から成っています。しかし、共通するのは、すべての話が手紙のやりとり《往復書簡(しょかん)》によって作られているということです。

その中の一編、「二十年後の宿題」は、映画「北のカナリヤたち」の原案となりました。話は、小学校を定年退職したばかりの竹沢先生が、元教え子の大場君に出した手紙から始まります。竹沢先生は大場君に「六人、どうしても気になる子どもたちが出てきました。あの子たちは今、どんな人生を送っているのだろうか」調べてほしいと頼みます。大場君はその一人ずつと会って話を聞いていきますが、みなが同じように、六年前の「あの事故」のことを気にします。六人がそれぞれの視点から見た事故の様子を聞きながら、大場君は事故を調べるように頼んだ竹沢先生の真意に気づきます。(Aさん)