中学生のための国語のおすすめ50冊

のぼうの城

のぼうの城

小説

小学館

和田 竜

<のぼう様はでくのぼうか大将軍か>

時は安土桃山(あづちももやま)時代,織田信長(おだのぶなが)亡き後,世の中は豊臣秀吉(とよとみひでよし)が天下を手中に収めようとしていた。抵抗する北条(ほうじょう)方の「のぼう様」率いる成田(なりた)家は,豊臣方の石田三成に攻められ,難攻不落と言われた忍城(おしじょう)に立てこもる。「のぼう様」こと成田長親(ながちか)は,家臣はおろか百姓領民からも「(でく)のぼう様」と呼ばれて,ばかにされており,とても大将の器があるとは思われない。そんな成田家がわずか6500人で,およそ4倍の23000人の豊臣軍といかにして戦ったのか。

あなたが成田家の大将なら,4倍の敵兵と戦いますか?それとも降参しますか?この本の前半は,戦いに至るまでの経緯を,史実を基にして丁寧に描き,読み手の私たちをまるで忍城の領民の一人であるかのような視点へと導きます。そして,後半。開戦とともに次から次へとやってくる石田軍勢に,忍城の兵士や農民たちがいかに戦ったのか。結末が気になり,一気に読み終えることができます。戦いを終えた後,石田三成が気付いた,のぼう様の将器の秘密とは?大切なのは勝つことか,誇りをすてないことか,領民を守ることか。

歴史が好きな人はもちろんですが,あまり得意ではない人もこの本を読むことで,歴史に興味がもてるかもしれませんよ。  (Aさん)