中学生のための国語のおすすめ50冊
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くちびるに歌を
詩歌
小学館
〈全力で打ち込んでいるものはありますか?〉
長崎県五島列島の中学合唱部を舞台とした物語。物語は,ある一人の女子部員と男子部員の二つの視点で交互に語られます。
女子だけだった合唱部に男子が入部してきました。しかし,その男子部員たちはまじめに練習に取り組まずにイライラ……。読んでいて,自分も一緒に男子生徒に腹を立ててしまうほどです。
一方,男子生徒側から描かれる部分では,「ぼっち」(ひとりぼっち)のプロで,周囲とのかかわりを避けている少年が合唱を通して,変化していく姿が感動的です。自分の存在意義とはなんだろうかと考えさせられます。
合唱部の臨時顧問となった先生はコンクールの課題曲「手紙」に合わせて「十五年後の私」への手紙を書くという課題を部員に出します。作品の中に挿入されたこれらの手紙がまた感動を誘います。もし,あなただったら,十五年後の自分にどんな手紙を書きたいですか?
読み終えた後,何かに全力で打ち込みたくなる,そんな小説です。(Oさん)