新詳日本史 2026年度版 ダイジェスト版
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   可おさむべき納丑うし御年貢割付 越前国今いま立だて郡一 高弐百拾五石こく七斗と壱升しょう六合ごう 東ひがし俣また村   内 壱斗六升五合   郷ごう蔵ぐら鋪しき引びき     五石六斗壱升五合 前々永えい引びき   残弐百九石九斗三升六合    此取米八拾壱石九斗七升弐合 高三ツ八分1人々の意見にみる近世から近代への転換2税にみる近世から近代への転換1A近世の意見2A近世の年ねん貢ぐ割わり付つけ状じょう(←←p.184)2B近代の地ち券けん(→→p.231)1B近代の意見鈴木正しょう三さん(1579~1655)(1579~1655) 僧侶・作家 どの事業も仏行である。事業に尽くす どの事業も仏行である。事業に尽くすことでことで成成じょう仏仏ぶつすることができる。…職人がすることができる。…職人がいないと世の中がいないと世の中が調調ととのわない。武士がいなわない。武士がいないと世の中が治まらない。農民がいないいと世の中が治まらない。農民がいないと食べ物が得られず,商人がいないと物と食べ物が得られず,商人がいないと物の流通がの流通が滞滞とどこおる。あらゆる事業は世のためる。あらゆる事業は世のためとなる。となる。 (『万ばん民みん徳とく用よう』)(しょうぞう) 今は右のように 今は右のように各各おの々々おのが自分の山を高くしが自分の山を高くしようと考えているため,国としての考えがようと考えているため,国としての考えがはっきりしない。各々で考えが異なるため,はっきりしない。各々で考えが異なるため,国の総力で列強に対抗することが難しい。国の総力で列強に対抗することが難しい。よって,朝廷を中心に各々が順に並び,一よって,朝廷を中心に各々が順に並び,一体の力で国を維持する形にすれば,列強は体の力で国を維持する形にすれば,列強は恐れるに足らない。恐れるに足らない。 (『木戸孝允文書巻八』)福ふく沢ざわ諭ゆ吉きち(1834~1901) (1834~1901) 啓けい蒙もう思想家・教育家(→→p.234) 智者が小民を支配すれば,国内は 智者が小民を支配すれば,国内は安安あん穏穏のんかもしれないが,国かもしれないが,国がが主主しゅ客客きゃくに分かれる。…外国と戦争になれば,小民は「客分なのに分かれる。…外国と戦争になれば,小民は「客分なので命を捨てるのは度を越えている」と言って逃げてしまう。…で命を捨てるのは度を越えている」と言って逃げてしまう。…国を守るには,自由独立の気風を広め,国を守るには,自由独立の気風を広め,貴貴き賤賤せんの上下なく,各の上下なく,各自が国人として尽くさなければならない。自が国人として尽くさなければならない。 (『学問のすゝめ』)池田光みつ政まさ(1609~82) (1609~82) 岡山藩主(←←p.182) 幕府の将軍は日本国中の人民を天から預かっている。大名は一国の 幕府の将軍は日本国中の人民を天から預かっている。大名は一国の人民を将軍から預かっている。人民を将軍から預かっている。家家か老老ろうとと士士さむらいは大名を助け,人民が安心しは大名を助け,人民が安心して暮らせるようにする者である。人民が安心に思うか不安に思うかは,て暮らせるようにする者である。人民が安心に思うか不安に思うかは,大名の大名の良良よしし悪悪あしによるが,将軍の責任にもなるので,人民をしによるが,将軍の責任にもなるので,人民を困困こん窮窮きゅうさせさせることは,大名の将軍に対する不忠である。ることは,大名の将軍に対する不忠である。 (『申出覚』)①  以下の点に着目して,1Aと1Bを比較しよう。    政治を率いる主体    理想とする政治体制    人民の治め方や,人民のあるべき姿②  ①をふまえ,近世から近代への変化を考えよう。朝廷 □摩 長州 その他 諸藩府県23SK_P031W 26mm H 37.25mmP.217郷蔵鋪引…蔵の敷地に対する控こう除じょ前々永引…以前からの控除漢数字の表記は(←←p.64)③ 以下の点に着目して,2Aと2Bを比較しよう。    近世と近代の課か税ぜい基準    納のう税ぜい者(納税単位)     納税する物④ ③をふまえ,近世から近代への変化を考えよう。1 江戸時代の年貢割付状(越えち前ぜん国今いま立だて郡東ひがし俣また村1721年)年貢割付状は,毎年秋に役人が村に,年貢高や納入期日などを年貢割付状は,毎年秋に役人が村に,年貢高や納入期日などを通達した文書。左の文中の最終行の「此通達した文書。左の文中の最終行の「此取取とり米米まい八八拾拾じゅう壱壱石石こく九九斗斗と七七升升しょう弐弐合合ごう」が領主に収めた年貢高。 」が領主に収めた年貢高。 提供/福井県文書館2 明治時代の地券(上は表,下は裏) 土地所有者に交付し 土地所有者に交付した土地所有権の確認書。土地所有者は,地券に書かれたた土地所有権の確認書。土地所有者は,地券に書かれた地地ち租租そをを税金として国に納めた。土地所有者が変わる場合は,裏面にそ税金として国に納めた。土地所有者が変わる場合は,裏面にその旨を記入した。の旨を記入した。愛知 名古屋市博物館蔵⑤ ①〜④や左ページの年表から,近代を通つう観かんする問いを立てよう。 例)明治政府はどのような国をめざし,人々はどのように受け入れたのだろうか?  例)日清戦争以降,大規模な戦争が何度も起きたのは,なぜだろうか?⑥ ⑤で立てた問いについて,仮説を表現しよう。近代の学習後に考えよう 学習をふまえ,⑥の仮説を見直し,話し合おう。 近代はどんな時代であったのか,自分なりの言葉で説明しよう。受取人受取人差出人差出人(藩の役人)(藩の役人)右村右村 庄屋 庄屋 百姓 百姓(→→p.226)木き戸ど孝たか允よし(1833~77) (1833~77) 幕末の志士・明治の政治家近代への転換と展望21721711

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