アクティブ地理 インタビュー特集

コンゴ民主共和国

クリスチャン オチア サメン さん
(CHRISTIAN OTCHIA SAMEN さん)

首都:キンシャサ
人口:6783万人
面積:234万4900km2

フランス語とリンガラ語の自己紹介とあいさつ

インタビュー

わたしはキンシャサに住んでいます。キンシャサは風が強く,日本の夏ほど湿度が高くないのでそんなに暑くありません。雨季と乾季があります。気温は,乾季は18~20度ぐらい,雨季は暑く30度くらいです。また,コンゴには,年中ほぼ毎日雨が降る村もあります。

コンゴの雨は日本の雨とはまったく違って,とても強いです。日本では,傘を使わなくてもいい雨が降るときもありますが,コンゴでは傘が役に立たないほどです。

最近は気候が変化していて,キンシャサでは,一日中降る日がなくなり,雨は2~3時間ぐらいで止みます。日本は雨の後は蒸し暑いですが,コンゴでは雨の後は本当に美しくなるし,とても気持ちの良い晴れになります。だから,みんな雨を待ちわびています。

最近の気候変動で,今は雨季は8か月間です。そして,雨季と言っても,雨が多い時期と,少ない時期に分けられるようになりました。雨が多いのは9~12月です。1月・2月は,少し雨が降ります。雨は毎日降るわけではなく,週に1度くらいです。乾季はたいてい6月からですが,今は5月から9月ぐらいまでが乾季です。

コンゴには2種類の伝統的な衣服があります。ラフィアせんいでできた服は,人々が日常的に着るものではなく,村の長などが着ます。ラフィアはつくるのが難しく時間がかかります。ローン生地でできたこの服は,人々がふだんよく着るものです。仕事に行くときはジーンズなど現代的な服を着ることもありますが,ほとんどの人,特に女性は,ほぼ毎日この服を着ます。

主食は,フフです。フフとは,とうもろこし粉と,キャッサバの根を乾かしたものをついて粉にしたマニョック粉を煮て,混ぜたものです。フフは焼いた魚や鶏肉,豚肉,牛肉といっしょに食べます。フフ,焼いた魚や肉,野菜は,それぞれ別の皿に盛りつけます。ほとんどの人は手を使って食べます。手で触れることで,食事をより楽しむことができるのです。
また,鶏肉とトマトのスープも伝統的な料理で,よく食べます。鶏肉はよく食べますが,特にパーティーなどのときは必ず料理します。コンゴには魚や動物などたくさんの種類の食材があります。サルも食べます。ほとんどすべての動物を食べますよ。森が多いので野菜も豊富です。

村や森に行ったときは野生動物を見たことがありますが,都市では見かけません。アフリカというと,象やライオンがどこにでもいるというイメージがあるかもしれませんが,それは間違いです。野生動物は森や公園にいます。都市には家やビルがあります。家のほとんどは1階建てですがとても美しく設計されています。美しい家を建てるのが好きな建築家がたくさんいるんです。サルなどがいても,それはペットとして人と暮らしている動物です。ライオンを見たことがないアフリカ人もたくさんいます。

映画で見て,日本に行けばサムライの戦いが見られると思っている人が多いです。日本が発展していることは知っているのですが,まだそういうイメージもあります。わたしは,日本に来て,サムライがいなくて驚きました。それに,便利な地下鉄やコンビニがあってびっくりしました。聞いていたイメージとは違いました。
また,道路や橋の建設でも有名です。なぜなら日本は1970年代からコンゴの大きな道路を建設しているからです。日本はサムライと建築で有名です。
それから,コンゴでは「ジャパニーズ」という言葉には「きちんとした服を着る,おしゃれをする」という意味があります。ヨウジヤマモトやイッセイミヤケ,マサトモなどの日本人デザイナーのファッションブランドが有名なのです。コンゴの人はきちんとした服装をすることが好きなので,これらのデザイナーの服を買います。だからコンゴできちんとした(立派な,おしゃれな)服装をしていたら「ジャポネ(フランス語で日本人男性)」とよばれます。

フランス語やキコンゴ語です。ただし,父とはキンゴリ語,母とはキイオンベ語でも話します。授業はフランス語で勉強し,友人とはスワヒリ語やリンガラ語を話します。コンゴは多民族の国なので,言語もたくさんあるのです。フランス語が使われているのは,ベルギーの植民地だったからです。

コンゴ民主共和国は,多民族の国で,300ぐらい言語があるといわれています。わたしの父はコンゴの中央部,母は西部の出身でそれぞれ違う文化をもっています。異なる文化をもつ人々が1つの社会でうまく暮らしていることがコンゴのいいところです。そういう人々がみんないっしょに暮らしているからこそ,わたしは父の言語,母の言語,都市で話されている言語やその他の言語も話すことができます。
また,日本では電車の中で人にあいさつをしませんが,コンゴの人はオープンで社交的なので,知らない人でもあいさつをします。そういう社会にいたので,わたしは日本でもホームシックになったりせず,異なる文化をもつ人々と生活できています。

世界はとても複雑で大きいです。外の世界で何が起こっているか知ってください。外へ出て,いろいろな人に会って文化を交流してください。そうすることで,自分をより深く知ることができると思います。人と交流するということは鏡を見るようなことです。鏡を見ると自分自身が見えますよね。もっとオープンになって違う文化を学び,いろいろな人と話して,自分自身をもっとよく知ってください。