味覚受容のしくみ

ヒトの味覚は,「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つの基本要素からなる。5つの味は,それぞれ専門の味細胞によって受容され,神経を通って別々の情報として伝えられた後,で統合されて総合的な味として認識される。

味覚を生じさせる刺激の実体は水に溶けた化学物質(味物質)である。味細胞の表面には味物質を検出するタンパク質受容体)が存在しており,受容体への味物質の結合が引き金となって味細胞が興奮し(興奮;細胞膜内外の電位の逆転),神経に信号を伝えるしくみになっている。

甘味受容体(糖を検出)や,うま味受容体(アミノ酸を検出),苦味受容体(タンニンなどの苦味成分を検出)は,細胞膜を貫くタンパク質であり,細胞外と細胞内にそれぞれ突出した領域をもつ場合が多い。細胞外領域へ味物質が結合すると,それに連動して細胞内領域の化学構造が変わり,細胞内のほかのタンパク質との相互作用に変化が現れる。その結果,間接的にイオンチャネルが制御され,味細胞の興奮が引き起こされるのである。

一方,酸味受容体(水素イオンを検出)や塩味受容体(ナトリウムイオンなどの陽イオンを検出)はイオンチャネルであり,細胞へのイオンの出入りを直接調節することで味細胞を興奮させる。