ヒトのゲノム

2003年4月に終了したヒトゲノム計画では,匿名の何十人ものゲノムDNAを合わせたものが,ヒトのDNA塩基配列として報告された。一人のゲノムDNAを材料としなかったのは,例外的な突然変異が起こったゲノムDNAの塩基配列を,標準的な配列として認識することを避けるためである。

ヒトゲノム計画終了の発表から4年後の2007年5月には,特定の個人のゲノムDNAが解読された。DNAを提供したのは,DNAが二重らせん構造をとることを発見したワトソン博士である。また,これとは別に,ヒトゲノム計画に尽力したアメリカのセレラ・ジェノミクス社のクレイグ・ベンター博士のゲノムも解読され,同年9月に公開されている。特定の個人のゲノムDNAが解読されたことは,予防薬の開発など医療面での発展において非常に意義がある。しかし一方で,個人の遺伝情報の帰属など,解決すべき問題は残されている。