同位体と生物学

1.原子の構造

物質を構成する最小の粒が原子である。あらゆる物質は,原子から構成される。原子は,陽子・中性子からなる原子核と,電子とで構成される。

NSchem028-2AB

  • 陽子と中性子の質量はほぼ同じ,電子の質量は非常に小さい。
  • 原子の質量は,原子核(陽子+中性子)の質量と考えることができる。
  • 陽子のもつ電気量と電子のもつ電気量は,正負が反対で,絶対値が等しい。中性子のもつ電気量は0。
  • 原子に含まれる陽子と電子の数は同じなので,原子全体のもつ電気量は0。

2.原子の表し方

NSchem028-2C

3.同位体

同じ元素の原子で中性子の数が異なる原子どうしを,互いに同位体(アイソトープ)という。
同位体の化学的な性質はほぼ同じであり,同様の化合物をつくることができる。

水素の同位体(軽水素と重水素)
水素の同位体(軽水素と重水素)

 

同位体の種類と存在比
同位体の種類と存在比

4.放射性同位体

NSchem029-3C

放射線を出して原子核がほかの原子の原子核へと変化していく(放射性崩壊する)同位体を放射性同位体(ラジオアイソトープ)という。たとえば,146Cの原子核は,中性子1個がβ 線(電子)を放出して陽子に変わり,147Nの原子核へと放射性崩壊する。

5.放射線

放射線には,α線,β線,γ線などがある。

  • α線:ヘリウム原子核の流れ
  • β線:電子の流れ
  • γ線:波長の短い電磁波

生物学との関わり

同位体の化学的性質は同じなので,放射性同位体を含む物質でもそうでない物質と同様の化学反応をする。そこで,生物に放射性同位体を含む物質をとりこませ,その後,どのような物質,どのような場所から放射線が放出されるかを追跡することによって,生物の中での物質の移動や化学反応の様子を知ることができる。