タケの成長をささえるからだのしくみ

タケの成長は非常に速い。伸び盛りのタケでは,1日に約1.2メートルという記録もある。どうしてタケはこんなに速く成長できるのだろうか。

まず第一の理由として,成長するための栄養が得やすいことが挙げられる。

多くの植物は,種子に蓄えられた栄養を使い果たした後は,光合成によって自力で栄養をつくりながら成長する。一方,タケは周りの親竹から地下茎を通じて栄養をもらうことができる。そのため,あまり光が入らない竹林の林床でも,驚異的なスピードで成長することができるのである。

もうひとつの理由は,節のくり返しからなるタケの構造にある。
多くの植物は,茎の先端に分裂組織(成長点)をもち,ここで活発に細胞分裂を行ってからだを伸ばす。一方,タケはすべての節に帯状の分裂組織(成長帯)をもつ。そのため各々の節が同時に成長し,まるで提灯を広げるように,一気に背をのばすことができるのである。地面に顔を出す頃の竹の子には完全な節構造が備わっており,節の数は成竹になっても増えることはない。

竹の子を切ると,ひだ(節)の間に白い粉がついていることがある。これはチロシンというアミノ酸のかたまりで,木化物質のリグニンを合成するための材料になる。大きなからだを支えるためには,細胞のまわりを固い物質で固めること(木化)が必要である。タケは,木化物質の材料を事前に蓄えておくことで,急激な成長に備えているのである。

このようなしくみにより,タケは ほかの植物よりもはるかに速く増殖・成長することができる。竹林の手入れを怠ると,周囲の森林にタケが侵入して植生を破壊することがあり,「竹害」として問題になっている。