近視

日本は世界的に見ても近視の発症率が高い国です。2011年度の学校保健統計調査では,裸眼視力が0.7未満の人は,小学校で19%,中学校で41%,高校で43%と報告されました。成人では正確な統計はとられていませんが,人口の3分の1,約4000万人が近視であるともいわれています。
近視はどのようにして起こるのでしょう。

眼に入る光は,角膜と水晶体で屈折し,網膜で受容されます。私たちは光が網膜の上で結んだ像を,外界として見ています。しかし,角膜や水晶体の屈折率が大きすぎる場合や,眼軸(眼の奥行き)が長すぎる場合には,網膜の前で像が結ばれてしまい,網膜上では像がぼやけてしまうのです。

一般的には,「暗い所で本を読むと眼が悪くなる」や「パソコンやゲームのしすぎは眼に毒だ」など,近視と生活習慣を結びつけて語られることは多いです。しかし,同様の生活を送っていても,近視になる人・ならない人が存在するなど,必ずしも生活習慣が近視を引き起こすとはいえないようです。ほかにも「親が近視だと子も近視になる」など,近視と遺伝との関係も耳にします。
現在,近視の発症の原因としては,生活習慣,遺伝,眼球の成長(成長にともなって眼軸が長くなること)の3つが考えられています。しかし,近視が発症する明確なしくみについては,まだよく分かっていないのが現状です。

現代社会において,裸眼視力が0.7未満の人は近視の矯正が必要とされています。
近視の矯正には,メガネやコンタクトレンズを使って屈折率を調節する方法が一般的です。近年では裸眼視力を回復することのできる『レーシック手術』を受ける人も増えています。レーシック手術では,角膜の中心部分を特殊なレーザーで削り屈折率を調整することで,視力を回復させることができます。

また,近視の原因遺伝子を特定する研究も進められています。2010年9月には,2つの研究グループによって,近視の人に多く見られる遺伝子群の発見が報告されました。これらの研究は,近視の特効薬の開発につながる可能性があるのだそうです。