マメナシの花

愛知県小牧市の天然記念物マメナシ自生地で,マメナシの花が見頃となっています。

マメナシの花 (2011年4月10日,愛知県小牧市)
マメナシの花 (2011年4月10日,愛知県小牧市)

マメナシ(別名イヌナシ)は,果物のナシの仲間(バラ科ナシ属)で,直径1cmほどの小さなナシの実をつけます。 4月上旬頃に,白色の花を咲かせます。

マメナシの国内での分布は愛知県・三重県で,この地方の植生の特徴となっている,東海丘陵要素を構成する種のひとつです。東海丘陵要素には,以前にとりあげたシデコブシやハナノキ,ヒトツバタゴ,トウカイコモウセンゴケ,シラタマホシクサ,ナガバノイシモチソウなどがあります。

マメナシは現在,東海地方には約450本しか自生しておらず,自生地は非常に限られています。その中でも,自然に種が発芽して成長し更新しているところは,小牧の自生地を含め6ヶ所しかないといわれています。

小牧市大草のマメナシ自生地
小牧市大草のマメナシ自生地

愛知県のレッドリストでは絶滅危惧ⅠA類(CR),環境省のレッドリストでは,絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。これは,何らかの保護がされなければ,近いうちに絶滅する可能性が高いというカテゴリです。

マメナシが減少している要因としては,開発による自生地の消失があげられます。小牧市の自生地でも,すぐ隣まで工業団地が作られており,自生地への影響が懸念されています。

しかしながら,人工的に栽培して増やせばいいというわけにもいきません。マメナシは発芽させて栽培することはできますが,自然の状態ではなかなか発芽しにくいという特性があります。発芽には水分が必要といわれていますが,詳しいことはよくわかっていません。また,人為的な栽培や移植による,遺伝子かくらんの影響も心配されます。やみくもに他の地域の個体を持ち込むと,遺伝子の多様性・地域性をそこなうおそれがあります。

結局は,個体を増やせばよいというのではなく,マメナシの生育できる環境を保全していく必要があるのです。

マメナシの花と実今年は花は小さめとのこと。
マメナシの花と実
今年は花は小さめとのこと。
地面に落ちた実実は苦くて食べられない。たくさん落ちているが,発芽して成長するのはわずか。
地面に落ちた実
実は苦くて食べられない。たくさん落ちているが,発芽して成長するのはわずか。
マメナシの葉ふちが赤くなる。
マメナシの葉
ふちが赤くなる。
幼木のトゲバラに近い仲間(バラ科)で,幼木にはトゲがある。
幼木のトゲ
バラに近い仲間(バラ科)で,幼木にはトゲがある。