スズメバチのエネルギー源

スズメバチは,ほかの昆虫や樹液などをえさとしています。

アシタバを食べるキアゲハの幼虫
アシタバを食べるキアゲハの幼虫
キアゲハの幼虫を肉団子にするスズメバチ
キアゲハの幼虫を肉団子にするスズメバチ

おそらく,写真のスズメバチはこの後,肉団子を巣まで持ち帰り,幼虫にえさとして与えたことでしょう。なぜなら,成虫はからだに細いくびれがあり,食道が非常に細く,体液など液状のものでなければ摂取せっしゅできないからです。肉団子を与える際に幼虫からもらう「栄養液」が,成虫のエネルギー源になっています。

体長5 cmほどのオオスズメバチの成虫は,1日に約100 kmもの距離を飛行するといわれています(愛知県名古屋市から静岡県浜松市あたりまでの距離に相当)。この,地球上に存在する生物の中でも抜群の身体能力(はねを動かす筋肉の活動)は,幼虫が分泌する栄養液に支えられています。通常,動物の運動時には血糖が使われます。しかし,どうやらスズメバチの成虫は,からだに蓄えている脂肪を用いているようなのです。このしくみにより,筋肉の疲労が緩やかになり,高い持久力を発揮することができます。栄養液には,17種類のアミノ酸が,スズメバチ独特の比率で含まれています。豊富に含まれるプロリンやグリシン,アラニンなどが,代謝サイクルを活性化し,脂肪の燃焼を助けていると考えられています。

栄養液に含まれる「スズメバチ アミノ酸混合物(Vespa Amino Acid Mixture:VAAM)」は,スズメバチ以外の動物,例えばマウスやヒトの体内でも同様に作用することがわかっています。理化学研究所で行われたこれらの研究をもとに,『VAAM』というスポーツ栄養食・ドリンクが開発され,多くのスポーツ選手・愛好家に支持されています。

朝晩の暑さがやわらぎ,“食欲の秋”“読書の秋”など,いろいろと楽しみの多い季節になりました。秋晴れのもと,スズメバチの知恵をお借りして,“運動の秋”にいそしむというのもまた良いかもしれません。