現代人の強い味方「栄養食品」

忙しい時の食事代わりに,試験勉強のお供に。誰もが一度はいわゆる「栄養食品」を口にしたことがあるのではないでしょうか。中でも,栄養バランスが良く手軽に食べられる栄養調整食品は人気を集めており,大学生の約半数は月に1回以上の頻度で利用しているといわれています。そのほか,特定の栄養成分を強化した栄養機能食品や錠剤タイプのサプリメントを健康づくりのために利用する人も多いようです。

多くの栄養食品のパッケージには,「1日に必要な量」に対してどれくらいの割合の栄養成分を含むかが記載されています。各栄養成分の「1日に必要な量」は厚生労働省発表の「日本人の食事摂取基準」で定められており,最新の科学的データに基づいて5年おきに更新されます。算出方法は栄養成分の性質によって異なりますが,健康な人の体内での濃度と消化吸収効率の情報から推測する方法や,摂取量と排出量(尿中濃度)が釣り合うような摂取量(体内濃度がほぼ一定に保たれる摂取量)を求める方法が主流です。

多忙な現代社会では,若者を中心に食生活が不規則な人が増え,ビタミンやミネラルなどが不足する傾向があります。栄養食品の人気は,不摂生を自覚しつつも健康でいたいという現代人の強い願いの表れといえるでしょう。ところが,栄養食品やサプリメントの取りすぎは,ビタミンやミネラルの過剰摂取を招き,結果的にからだに害を及ぼす恐れがあります。例えば,亜鉛を過剰に摂取すると,銅の吸収に関わるタンパク質が減少し,体内の銅濃度が低下します。銅はヘモグロビンの合成に必要な元素なので,貧血症状が出る場合もあるそうです。パッケージに記された用量を守るのは当然ですが,複数の栄養食品やサプリメントを組み合わせる場合にも注意が必要です。

摂取量の目安は1日あたりの平均値であり,毎日絶対にそれだけの量を取らなければならない訳ではありません。栄養管理というと難しそうな響きですが,あまり気負わず,栄養食品を上手に取り入れて健康的な食生活を目指して行ければ良いですね。

「栄養調整食品の利用状況とその栄養学的意味」(日本家政学会誌 Vol.54 No.2 123~131)
「日本人の食事摂取基準」2010年版(厚生労働省)