平衡感覚を鍛える

現在開催中のバンクーバー五輪ですが,雪上や氷上で繰り広げられる選手たちの活躍には目を見張るものがあります。夢に向かって懸命に頑張る姿だからこそ,胸を打つものがあるのでしょう。

スポーツ選手は,元々身体能力の高い人もいますが,練習を積みさまざまな感覚を鍛えることで,超人的な動きを実現しています。例えば,フィギュアスケートの選手は,同じ方向に連続して回る技を競技で披露しますが,回転後,彼らは目をまわすことなく演技を続けています。これには,鍛えられた「平衡感覚」が関わっているといわれています。平衡感覚は,耳の穴の奥にある「半規管」や「前庭」などの平衡器が刺激を受容し,その情報を中枢であるへ伝達することで生じます。

“目がまわる”という現象に似たものとして,列車や車の揺れによって生じる,吐き気などの不快な症状,いわゆる“乗り物酔い”があります。その発生のしくみには諸説ありますが,「1.平衡感覚,2.視覚,3.体性感覚」が関わっているという説が最もよく説明できます。過去の経験による感覚情報(1~3の組み合わせ)の記憶と,実際の感覚情報が比較され,記憶から予測されるものと異なる情報が入ってきたときに“酔い”が生じるという説(感覚不一致説)です。

最近では,日常的な運動不足のために平衡感覚が衰え,乗り物酔いしやすくなっている人が増えているそうです。前日の十分な睡眠時間の確保や薬などによる対策とともに,日頃から平衡感覚を鍛え,氷上で高速回転とまではいかなくとも,乗り物を使って心地よく移動できると良いですね。