2008年ノーベル賞が決まる

今年のノーベル生理学・医学賞は,次の通りです。

「子宮頸がんを引き起こすヒト・パピローマ・ウイルスの発見」
ハラルド・ツア・ハウゼン氏(ドイツがん研究センター,ドイツ)

「ヒト免疫不全ウイルスの発見」
フランソワーズ・バレシヌシ氏(パスツール研究所,フランス)
リュック・モンタニエ氏(世界エイズ研究予防財団,フランス)

ハウゼン氏は,子宮頸がんの患者から,ヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)を発見しました。HPVには多くの型がありますが,ハウゼン氏が発見した2つの型が,子宮頸がんの原因の70%ほどを占めています。また,子宮頸がんのほとんどが,HPVの感染によるものと考えられています。このウイルスの発見によって,ワクチンも開発され,子宮頸がんの予防にも貢献しています。

バレシヌシ氏,モンタニエ氏は,エイズ(後天性免疫不全症候群)の患者からウイルスを分離しました。このウイルスがエイズの原因であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)だとわかりました。この発見によって,いままで原因不明の病気であったエイズの診断法や治療法の開発が可能になり,感染の予防などの対策も行われるようになりました。

また,今年のノーベル化学賞は,生物学に関係が深いテーマが受賞しました。

「緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見と開発」
下村脩氏(ボストン大,日本)
マーティン・チャルフィー氏(コロンビア大,アメリカ)
ロジャー・チェン氏(カリフォルニア大サンディエゴ校,アメリカ)

下村氏は,オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質(GFP)を分離しました。ホタルなどの発光は,発光物質にATP酵素が関係していますが,GFPは紫外線を当てるだけで光ります。チャルフィー教授は,GFPを細胞内に入れて光らせることに成功しました。また,チェン教授は緑色以外の色で光らせることなどを行いました。

このタンパク質細胞遺伝子に取りこませることによって,細胞の特定の場所を光らせたり,特定の遺伝子が活性化している場所を光らせたりできるようになりました。これは,分子生物学の研究に新たな手法をもたらし,その発展に大いに貢献しています。

なお,下村脩氏のほかにも,3人の日本人がノーベル物理学賞を受賞しました。