ウイルスの宿主の遺伝子

ウイルスは単独では増殖できず,生きた細胞(宿主)内に入り,その構造や機能を利用して増殖します。今月9日,ヒトの遺伝子の中から,インフルエンザウイルスの増殖において重要な役割をもつと考えられるものが見つかったと発表されました。これまで,インフルエンザウイルスについては,宿主がもつどのような分子を利用して増殖しているのか,ほとんど明らかにされていませんでした。

研究を行った東京大学医科学研究所によると,今回見つかった遺伝子は3つ。ヒトがもつこれらの遺伝子が,H1N1型と強毒性のH5N1型(いずれもA型インフルエンザウイルス)の増殖の際,培養したヒトの細胞内で重要な役割を果たすことが示されたとしています。

これまでに開発されているインフルエンザ治療薬は,ウイルス表面に存在するタンパク質に作用するもので,ウイルスの細胞内への侵入,または細胞外への放出を阻害します。また,薬によっては,突然変異により耐性をもつウイルスが出現しています。

今回の研究では,インフルエンザウイルスの増殖に関わる「宿主」の遺伝子が発見されました。今後,ウイルス増殖に関わる分子がさらに明らかになることで,これらの分子とウイルスの結合を抑える働きをもつなどの,新しいインフルエンザ治療薬の開発が進むと考えられます。