愛知の文学

古典文学編

県名の由来と愛知の古典文学

桜田(さくらだ)へ鶴(たづ)鳴き渡る年魚市潟(あゆちがた)潮干(しほひ)にけらし鶴鳴き渡る
(『万葉集』高市連黒人)

愛知に関わる記述は,早く『風土記(ふどき)』や『古事記(こじき)』に見られ,特に熱田神宮に関わるものが多い。また「愛知」という県名は万葉歌人である高市連黒人(たけちのむらじくろひと)の歌にある「年魚市潟(あゆちがた)」に由来している。

愛知は畿内と関東の中間に位置し,東西都市の文化の中継的役割をなしていた。中古・中世を通して,多くの紀行・日記文学に登場し,県下の名所や歌枕(うたまくら)などが描かれ,当時の交通と街道の様子を知ることができる。

近世になると,東海道の要所としてさらに発達し,多くの作品の舞台となっているが,特に,松尾芭蕉(まつおばしょう)との関わりは深い。

伊勢物語「東下り」の舞台,無量寿寺と八橋かきつばた園(知立市)