DNAは染色体の中で適当に折りたたまれている

染色体の中に折りたたまれて収納されている。その折りたたまれ方について,これまでの定説を覆す研究成果が発表された。DNAは規則正しく折りたたまれていると思われていたが,実は,いい加減なまとまり方をしているという。

ヒトの細胞に含まれているDNAの長さは,およそ2mにもなる。DNAは,ヒストンというタンパク質に巻き付いた基本構造,ヌクレオソーム(直径10nm)をつくる。このヌクレオソームが規則正しく巻き取られてクロマチン繊維(直径30nm)になり,クロマチン繊維が規則正しく折りたたまれて,染色体になるという考えが定説である。

2015年「ニューステージ新生物図表」の図解
2015年「ニューステージ新生物図表」の図解

しかし,ヒトの染色体を調べてみても,直径10nmの繊維があることは確認できたが,30nmの構造が見つからなかった。また,クロマチン繊維が規則正しく折りたたまれてできると思われる数十nmの構造も発見できず,DNAはヌクレオソームが適当に折りたたまれて染色体になっていることがわかった。

DNAを規則正しく折りたたむには大きなエネルギーが必要になる。その負担を軽減するため,真核生物は適当に折りたたむ方法を選んだのではないかと考えられている。また,規則正しく折りたたまない方がより小さくできるという計算結果もあるという。

なお,多細胞生物の細胞に含まれるDNAは,基本的にはすべて同じものであるが,働いている遺伝子は,細胞によって異なる。DNAがどのように折りたたまれて染色体になるかという研究は,特定の遺伝子がどのように選ばれて働くかを知る手がかりにもなる重要なテーマである。

【参考ウェブ】

国立遺伝学研究所

JT生命誌研究館 生命誌ジャーナル73号